参政党に修正を望む
1. 歴史認識
参政党(事務局長)が勧める「正しい知識を得る」「広く受けとめたうえで精査する」「歴史がたいせつ」をかさねてみると、党としての正史(歴史認識)がどんなものか見えないことに気づく。
無ければ無いでいい。しかし、参議院選挙候補者が、それぞれの歴史観にもとづく、かなり強い主張を展開したのも確かだ。
党として重要な点や議論を呼ぶ点については、歴史学的な議論に耐える認識を準備すべきである。
現在、参政党には3名のアドバイザーがいて、そのうちの一人は「国史啓蒙家」だそうだ。しかし、この方は言わば「別のジャンル」に属するようだ。
「ソースを示せ、出典を示せ」と題したプログ記事で「歴史や古典といった分野に関しては、多くの場合、そこでいうソースや出典というのは、ただの『誰かの意見でしかない』ことが多いようです」と書かれている。
「ねずさんの学ぼう日本」プログ、2022年7月19日記事。
これでは「事実をもとに考える」と言われても、その「事実」が何なのかすらわからなくならないか。
その当否はともかく、先行研究や正しいとされる(文法等の)過去知見を考慮する必要が無い、というジャンルのようだ。
それで「目覚めた」り「目から鱗が落ちたり」、歴史認識の議論をしたりしては困る。
「歴史がたいせつ」とはどういうことか。歴史をめぐる参政党の歴史は、コントンとしている。
2. ものの言い方
リスクを覚悟で立候補した人たちには、思うとおり演説していただきたい。
とは言え、必要のない反発や疑念を好んで招くこともないだろう。
男女役割論のにおいがする発言はいっさい許さない風潮があったとしても、母性や選択の自由としての専業主婦について語ることをためらう理由はない。
一方、政治に必要ない個人的な「男女差に関する思い」などをあえて強調してもしかたないのではないか。その場では「賛同」が「反発」を上回ったとしても、長期的に見た党のあり方としてどうなのか。
ユヴァル・シリ・ハラリさんが「自国はユニークだ」と言うのは健全なナショナリズムだか、優劣を言うのは危険だ、というようなことを言っている、
「大調和」はそれぞれの国、地域、民族が「世界にひとつだけの花」だということ。
しかし、ときに「優劣」が強く出てしまうのは残念だ。
陰謀論や疑似科学についても不用意に過ぎる。
3. 陰謀論、オカルト、擬似科学
参政党Q &Aなんとかして欲しい。Q27ほか。
参政党の本体は教育と財政なのに、あえてこういう話しを引き受ける意味がわからない。
応援の演説者が言ったこと(それも、遠くから応援だけしてくれたらと思うが)や、候補者の街頭演説での言葉の選び方などならともかく、これでは党の公式見解ではないか。
お詫びして撤回、というわけにはいかないのか。
「陰謀論」と非難されることがあってはならない、とは言わない。
「排外的」「男女役割論」「反ワクチン」にも通じるが、気に入らないことは、トンデモ説とひとまとめにして「陰謀論」で片づける手法が常用されるから。
しかし、発言者が思考を自問し、発言に注意することは、そもそもの前提である。
差別的な陰謀論、嘘と論理の飛躍による妄想としての陰謀論に陥ってはならない。
国家間の関係として語られることが多い世界史を巨大な富を持つ人たちの動きとして分析するのは有効だろう。富の勃興の社会的背景も。
林千勝さんの論は、資料をたんねんにあたり、合理的な推論で構成される。敵の敵は味方、にならない所も良い。問い、例えば「そんなお金持ちが活発に社会・政治活動したら、たいていの政治家や研究者は何らか関係者ということになってしまうのでは?」をたてることも可能だ。
だからと言って引用の仕方をまちがえれば、差別的な陰謀論あるいは嘘と論理の飛躍による妄想と見なされかねない。
オカルト(スピリチュアル)は、個人の宗教観や趣味として語るなら問題ない。
しかし(ここでも、しかし)「優劣としてのナショナリズム」や「陰謀論」と結びつくと、トンデモないことになるので注意して欲しい。
擬似科学も日本で大人気だ。批判本に出ている件に地方公共団体が補助金を出したりしている。
もう少し広い意味で、「良いと思われる」だけで予算がつき、効果の検証なしに延々と継続されている事業は、国、地方公共団体を問わずたくさんある。
政治判断が必要なのに、委員会専門家の「科学的意見」のみをもとに施策が決定されてしまう、仕組みとしての疑似科学もある。
擬似科学について考え始めるとキリがないが、参政党の参議院選挙候補者の演説にギョッとさせられることがあったのが気になる。
こちらの認識がすべて正しいとは思わないが、平凡な人間をハッとさせるのではなく、ギョッとさせるのはいかがなものか。
「参政党マーチ」を葬り去った党員に期待する。
党を挙げて、陰謀論や疑似科学の批判本を読んで欲しい。
参考文献
雨宮純. 2022. あなたを陰謀論者にする言葉. フォレスト出版.
左巻健男. 2022. 陰謀論とニセ科学. ワニブックス .
